かしこい患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.108

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

意思表示を無視した治療

相 談89歳の母は、姉夫婦と同居していて5年間寝たきりでした。1週間前、母が誤嚥性肺炎を起こしていることがわかり、在宅医の紹介で入院しました。入院のとき、姉の判断で「急変することがあっても自然の経過に任せたいので、延命治療は望みません」と伝え、カルテにもそのように記載されたそうです。

入院の3日後、「いつ急変されるかわからない状況なので、もう一度ご家族の意思確認をさせてほしい」と病院から言われたそうで、私たち3姉妹が病院に集まり、話し合いをしました。その結果、人工呼吸器や心臓マッサージ、昇圧剤の使用など、具体的に望まない延命治療の意思表示を書面でしました。担当医からは、呼吸器をつけることの患者自身の心身の負担、一度人工呼吸器をつけると外すのに困難が伴うことの説明もありました。

ところが昨日、病院から姉のところに電話がかかってきて、「お母さんの呼吸の状態が急に悪化したため、副院長の判断で人工呼吸器を装着してしまったのです。そのため、人工呼吸器装着の承諾書にサインをしに来てください」と言われたというのです。いまから病院の説明を聞きに行くことになっているのですが、どうにも納得できません。

コメント山口育子(COML)

救急搬送されて救命のためにつけられた人工呼吸器ならまだしも、入院時に家族から延命治療を希望しないことが伝えられ、カルテにそれが記載されたということは、病院側も了解したということです。さらには、再度意思表示が求められ、今度は望まない延命治療の項目も具体的に書面で指定されていました。にもかかわらず、「副院長の判断で装着したから、承諾書にサインを」というのは、病院の対応として責任感や誠実さが感じられません。

病院側の説明を受けに行かれる直前のお電話だったので、まずはどのような経緯で副院長が人工呼吸器を装着したのか、副院長は家族の意思表示を理解していたのかを確認してはどうかとアドバイスしました。そのうえで、家族としては明確に意思表示をしていたのだから、承諾書のサインではなく、人工呼吸器を外すことが可能になる手続きについて病院に説明を求めてはどうかとお伝えしました。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ http://www.coml.gr.jp/

電話医療相談 電話06-6314-1652(月〜金曜日 9:00〜17:00 土曜日 9:00〜正午)

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