かしこい患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.109

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

最期をどう迎えるか、答えが出ません

相 談私(57歳・女性)は8年前に乳がんが見つかり、手術と放射線治療を受けました。その後5年前に再発し、現在肺に転移しています。

じつは、私は陶芸家で、指先の感覚がとても大切です。再発して抗がん剤治療を勧められたとき、指にしびれが出る副作用があると聞かされ、抗がん剤治療を断りました。私としては、陶芸家としての人生をまっとうしたいのです。そこで、ホルモン療法を選び、ずっとホルモン剤の注射を受けてきました。

私の両親はともにがんで亡くなっていて、独身である私が二人を看病し、看取りました。その経験でがんの末期がどのような状態になるのか理解できるだけに、近くで家族と暮らしている姉妹に迷惑をかけたくないという気持ちが強いのです。この先を考えると、最終的に必要になってくるのは緩和ケアだと思っています。近隣で緩和ケア病棟のある病院は車で1時間近くかかります。それなら姉妹に迷惑はかからないと思うのですが、姉妹たちは水臭いと思うのでしょうか。自宅近くの病院も考えましたが、どこまで緩和ケアをしっかりやってくれるかわからず、結局姉妹に迷惑をかけると思います。どう最期を迎えるか、いくら考えても答えが出ないのです。

コメント山口育子(COML)

お一人で暮らし、陶芸家としての人生をまっとうしたいと、凛とした姿勢で信念を貫いていらっしゃるご様子でした。

確かに、ご両親ともにがんで亡くされていると、周りにどのような心配や負担がかかるか実感できるだけに、「私は迷惑をかけたくない」という思いになられるのでしょう。その一方で、迷惑をかけてくれない寂しさを姉妹が感じることも想像されていて、一人で思い悩んでおられました。

このような問題は、なかなか答えの出ることでもなければ、正しい答えが1つある問題でもありません。できれば、正直な想いを姉妹に伝えて、それぞれの想いを確認したり、話し合ったりしてはどうかと思います。お互いのためにも「ここはできれば支えてほしい」「これ以上は自分でやりたい」といった想いを共有したうえで、どこで最期を迎えるかを考えることが大切なのではないかと思います。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ http://www.coml.gr.jp/

電話医療相談 電話06-6314-1652(月〜金曜日 9:00〜17:00 土曜日 9:00〜正午)

バックナンバー