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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.56

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

親が末期のがん。看取りたい……

高齢者の死因の第1位は「がん」です。現在は、年齢が80代、なかには90代の患者であっても、治療に際し積極的に手術を行うケースが増加しています。それでも、当然ながら、「末期」と診断されて余命を言い渡されることもあります。

胃がんを患っていたHさんの父親は、転移を繰り返し、とうとう余命1カ月と言われました。Hさんは看取りたいと考え、勤務先の人事部門に介護休業を取得したいと相談したそうです。人事から提案されたのは、有給休暇20日と繰り越し分の20日の合計40日分を取得後に介護休業制度を利用すること。余命1カ月と言われても、父親はその何倍もの期間、頑張ってくれるかもしれません。「介護休業は93日あるので、合計133日も休みを取れることがわかって安心しました」とHさんは当時を振り返ります。

Hさんが休暇を取れたことで、父親を病院から自宅に戻すことができました。母親もHさんがずっと傍にいたことでとても安心してくれたと言います。結局、父親は有給休暇の取得中に亡くなったので、介護休業を利用することはありませんでした。

介護休業は、法律で定められた制度です。介護を必要とする状態にある家族のために、合計93日を上限として休業できます。無給となるケースが一般的ですが、雇用保険法による介護休業給付を受けることができます。企業によっては、法定以上に充実させているところもあります。自分の勤務先ではどのような制度になっているか、就業規則等に目を通して調べてみてはいかがですか。

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