かしこい患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.105

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

病と向き合う時期を逸しない

相 談72歳の妹は、1年半前に夫を亡くして以来、一人暮らしをしています。妹の夫は、脳梗塞で半身麻痺状態になり、妹が10年にわたって介護してきました。徐々に弱っていたのですが、最後は誤嚥性肺炎で亡くなったのです。

夫の死後、それまでの介護疲れが一気に噴き出したのか、生きがいがなくなってしまったのか、妹から生気が欠けるようになり、うつ状態になってしまいました。妹には2人娘がいるのですが、遠く離れて子育てに忙しいため、私が付き添って妹を受診させました。その際、脳のMRIを撮り、ほかの検査も受けた結果、「確かにうつ状態も見受けられますが、軽度の認知症です」と診断されました。当時の妹の状態では、認知症と知ればさらに落ち込むように思えたので伝えず、娘たちだけに伝えたのですが、彼女たちも現実を受け入れられないのか親身になってくれません。

それから1年が経ち、最近、どうやら妹の物忘れがひどくなってきているように感じるのです。プライドの高い妹なので、施設での生活はなじまないと思い、可能な限り一人暮らしをさせてやりたいと思っています。認知症と知らない妹は、この間受診していないのですが、どうしたらいいのでしょうか。

コメント山口育子(COML)

プライドが高くなくても、理解力が残っている人に「あなたは認知症」と伝えるのは、伝える人にとっても、伝えられる人にとっても辛いことだと思います。娘さんたちが親身になってくれないのも、母親が認知症であることを受け入れることができないからかもしれません。

ただ、現実問題として、1年前と今とでは状態がどう変化しているのか把握しなければ、「もっと早くになんとかするべきだった」と後悔することになりかねません。とくに一人暮らしだと、お姉さんも断片的な状況でしか妹さんの状態を認識できていないのではないでしょうか。できれば、娘さんたちとも連絡を取り、少なくとも1年前と比べてどう変化しているのか、治療の必要があるのかなど、受診して確認することは大切だと思います。しっかり向き合う時期を逸しないように、一歩踏み出されてはどうでしょうか。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「かしこい患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ http://www.coml.gr.jp/

電話医療相談 電話06-6314-1652(月〜金曜日 9:00〜17:00 土曜日 9:00〜正午)

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