HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2024年4月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2024年4月下旬号

マイナ保険証の利用促進へ
経団連が事業主向けの説明会
伊藤常務理事 円滑な移行へ協力を依頼

日本経済団体連合会(十倉雅和会長)は17日、マイナ保険証への円滑な移行・利用促進に向けた事業主向け説明会をオンラインで開催した。

説明会には、厚生労働省保険局の山下護保険課長、大竹雄二大臣官房付(保険局併任)、健保連の伊藤悦郎常務理事が出席。マイナ保険証への円滑な移行・利用促進に向けた対応や加入者情報の送付、事業主へのお願いに関する説明の後、オンライン参加者と質疑応答を行った。

このなかで、伊藤常務理事は、マイナ保険証の導入による事業主のメリットをアピールしたうえで、資格取得届等の健保組合への5日以内の提出など、マイナ保険証の普及に向けた協力を依頼した。

開会あいさつした酒向里枝経団連経済政策本部長は、「現行の健康保険証からマイナ保険証への移行は一大事業」との認識を示したうえで、関係者が協力して円滑に進めていくことが非常に重要と言及した。

山下保険課長は、マイナ保険証への円滑な移行・利用促進に向けた対応について説明。
 マイナンバー取り扱い業務を外部委託している場合、新入社員等がマイナ保険証を利用できるよう、業務委託業者に対して、収集したマイナンバーを即座に健保組合に伝えるよう事業主に依頼した。

他方、医療機関や薬局でマイナ保険証を利用することにより、患者にかかる投薬や検査、診断等の情報ネットワークを構築することが最終目的と強調。医療等の情報共有による提供体制をめざしていく考えを示した。

大竹大臣官房付は、加入者情報等の送付について事業主に協力を依頼した。
 これまでの登録済みデータの確認作業を踏まえ、令和6年3月以降、資格情報のお知らせ等を送付する際に医療保険者が把握している加入者情報を通知することで、情報の正確性を担保し、安心してマイナンバーカードを保険証として利用できるようにすると説明。

保険者は必ずしも加入者の住所を把握していないことや、保険者の特定記録郵便によるコストを踏まえると、「極力、事業主経由で確実に配布することが望ましい」との考えを示し、事業主の協力を求めた。

具体的な配布時期は、「健保組合により異なる」と言及したうえで、8月から10月頃を想定していると見通した。負担軽減を図る観点から、電子的な送付も可能とし、加入者情報の配布について、健保組合から相談があった際の協力も依頼した。

このほか、資格情報のお知らせ(個人番号の下4桁含む)の送付にかかる印刷費用・郵送費用に対する保険者向けの補助金を準備しているとした。

伊藤常務理事は、医療DXの基盤となるマイナ保険証の導入により、事業主は、▽従業員がより良い医療を享受、健康リテラシーの向上にも寄与▽保険証の配布や回収が不要─等のメリットが期待できると強調。

そのうえで、①新規採用者は内定段階でマイナンバーを収集、資格取得届および被扶養者異動届は5日以内に健保組合へ提出②マイナンバーの収集を委託している場合の対応③資格取得届および被扶養者異動届の提出にあたり、マイナンバーを正確に記載④従業員にマイナ保険証を利用するよう、積極的に呼びかけ─を事業主に依頼した。

①は健康保険法施行規則が改正され、事業主は資格取得の事実があった日から5日以内に、マイナンバーを記載した資格取得届等を健保組合へ提出する義務があることが明文化されたと指摘。健保連では、健保組合が新規加入者に案内できるよう、リーフレットも用意しているとして、事業主に活用を勧めた。

②はマイナンバーの収集を外部の委託業者に委託している場合でも、法令上は5日以内に提出することになっているとし、委託業者の業務の見直しを依頼。

③は「誤ったマイナンバーが記載されていると、本人への確認を行う必要があり、健保組合の登録が遅くなってしまう」と問題提起し、健康保険法施行規則で、「事業主は届出に関し、被保険者にマイナンバーの提出を求め、または記載事項にかかる事実確認をすることができる」と規定されているとして、留意を求めた。

④は▽各健保組合は5月、8月、11月時点のマイナ保険証利用率の目標を設定▽医療機関での声かけなどの取り組みも開始▽マイナ保険証の利用登録は、医療機関のカードリーダーでも簡単に行え、利用も簡単─として、従業員に対する働きかけを協力依頼した。

このほか、伊藤常務理事は、「加入者情報の正確性確保のための個人番号下4桁の加入者への送付」について、「健保組合では令和5年の省令改正前の既存加入者の住所を把握していない場合が多い」と言及し、▽医療費通知や保険証の交付と同様に封筒での配布▽社内イントラ等による電子的送付─への協力を依頼。

8~10月頃にかけ下4桁の送付を行う健保組合が多いと見通し、健保組合から具体的な送付方法について連絡があった場合の対応を重ねて求めた。

参加者からは、「12月2日以降にマイナ保険証に切り替わった場合、現行保険証の回収はあるのか」との質疑があり、山下保険課長が、「身分証明書になっている場合もあるので、回収を妨げるものではないが、回収は求めていない」と応答。

また、「マイナ保険証は全国どこの医療機関、薬局でも利用できるのか」との質疑に、大竹大臣官房付が、「紙でレセプト請求している医療機関等や新規開設の医療機関等以外では、基本的に利用できる状況」と応じた。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年