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健保ニュース 2024年4月下旬号

支援金制度創設など
子子支援法案が衆院通過
岸田首相 実質的な負担なし

児童手当の抜本的拡充や子ども・子育て支援金制度の創設などを柱とする「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が19日、衆院本会議で与党の賛成多数により原案どおり可決。参院に送付された。16日には、衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会に岸田文雄首相が出席し、締め括りの質疑を行った。18日に採決を行い、自民、公明両党の賛成多数で原案どおり可決。自民党、立憲民主党など4会派共同提案による附帯決議が採択された。岸田首相は質疑のなかで、子ども・子育て支援金は歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で構築することを基本とし、実質的な負担を生じさせないとの考えを強調した。

法案の柱は、①児童手当の支給期間の延長など「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた子育て支援の施策や給付の拡充②子ども・子育て支援特別会計、いわゆる「こども金庫」の創設③子ども・子育て支援金制度の創設─の3項目。

このうち③は、支援金を充当する対象事業に充てるため、令和8年度から毎年度、医療保険者から支援納付金を徴収する仕組みを導入。医療保険者は、被保険者等から医療給付に充てる保険料と合わせて支援金を徴収し、国に納付する義務を負う。

審議では、「子ども・子育て支援金制度」に質疑が集中。こども家庭庁は、審議入りに際し3月29日に示した医療保険者ごとの加入者1人当たりの支援金額の試算に加え、衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会における野党の要請に応じるかたちで、4月9日に被用者保険、11日に国民健康保険、16日に後期高齢者医療制度における年収別の支援金額の試算を公表した。

18日の特別委員会における質疑終局後の討論で野党は、子育て支援施策に賛同する一方、子ども・子育て支援金制度の財源に異議を呈した。原案に反対の立場を示した早稲田ゆき氏(立憲民主党)は、加入者1人当たりの支援金額の試算を見ると「実質的な負担が生じないとは言い切れない」と指摘した。一谷勇一郎氏(日本維新の会)と田中健氏(国民民主党)は、支援金を医療保険に上乗せして徴収する方法は、社会保険料の目的外使用に当たると問題視。負担が現役世代に集中することで可処分所得を圧迫し、少子化対策とは逆行すると訴えた。

法案採決では、自民、公明両党の賛成多数で可決。自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党の4会派共同提案による附帯決議が付された。

なお、法案は2月16日に閣議決定し、国会に提出。衆院における審議は4月2日の本会議で趣旨説明と代表質疑を行い審議入りし、同日、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会に付託された。特別委員会は、3日、5日に審議、9日には参考人質疑を実施した。11日は午前中に厚生労働委員会との連合審査会を開催し、午後から特別委員会で審議。16日の質疑を合わせ、計5回の審議を重ね、18日に採決した。特別委員会での審議時間は21時間10分を数え、参考人質疑を加えると23時間10分となる。

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