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健保ニュース 2024年4月中旬号

支払基金との令和6年度契約を締結
佐野副会長 事務手数料の3階層化を要望
支払基金、厚労省に要請書を提出

健保連は令和6年4月1日付で、社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)と令和6年度診療報酬の審査支払事務手数料や診療報酬等の納入期日などを定めた契約を締結した。これに合わせ、健保連の佐野雅宏副会長、伊藤悦郎常務理事、松本真人理事らが3日、支払基金本部と厚生労働省を訪ね、神田理事長と同省保険局の山下護保険課長に要請書を手交した。

支払基金の神田理事長あてに提出した要請書は、支払基金の6年度事業計画を踏まえ、新体制による支払基金改革の推進などを求める。また、同日付の厚労省伊原和人保険局長あての要請書は、支払基金関係の課題解決に向けた支援などを求めた。

佐野副会長は、支払基金に対し、5年度から導入された手数料の階層化(現行2階層)について、処理コストに応じた手数料負担の観点から、一般レセプトを「目視対象レセプト」と「目視対象外レセプト」に分けた3階層化とする検討を要望した。

厚労省に対し、5年度に導入された審査支払事務手数料の階層化とそれに伴う平均手数料の引き下げを評価するとともに、支払基金改革の成果を保険者に還元していくためのさらなる支援を要請した。

4月1日付で支払基金と契約した令和6年度の契約内容は、①審査支払事務手数料(レセプト1件あたり)医科・歯科(一般レセプト)69.80円、医科・歯科(判断が明らかなレセプト)39.60円、調剤32.60円②レセプト電子データ提供事業利用料(レセプト1件あたり)電子レセプト1.50円、紙レセプト8.70円(基本セット5.20円、オプション3.50円)③出産育児一時金の支払にかかる手数料103円─など。

処理コストに応じた負担を
手数料階層化の視点に

支払基金に対する要請書は、①人による審査を必要としないレセプトを9割とする取り組みの維持など審査の質の向上②審査・実務の着実な遂行およびその効率化効果の保険者への提示③再審査業務の適正化・効率化④審査支払事務手数料の3階層化⑤セキュリティポリシーや業務マニュアルに定められた業務の徹底─といった支払基金改革による成果の還元を要望した。

④は、手数料の3階層化に向け、再審査業務の影響を含めたレセプト振り分け区分別のコスト構造や中期財政の見通しを示し、導入に向けた議論を進めるよう要請した。

このほか、▽決済剰余金の保険者への還元にかかる取り扱いを含む安定的な財政運営の取り組み▽審査における不合理な差異解消の取り組み▽医療DX関連事業の推進─などを要望した。

要請書を手交した佐野副会長が、要請事項の早期検討を求めたのに対し、神田理事長は、令和2年に策定した審査事務集約計画工程表を踏まえた組織改革により、経費削減による財政的な効果が見られる一方、人員体制のスリム化に起因する再審査業務の負荷など課題が生じていると指摘。再審査業務の効率化をめざし、「明らかに原審どおりとなる事例」および適正な「再審査申出理由」の記載方法を健保組合等に明示するなど具体的な働きかけを検討していく意向を示した。

これに対し、佐野副会長は、「課題には協働して対応していく必要があり、関連データの共有は不可欠」と主張。再審査業務の効率化は、手数料の3階層化導入の検討にも関わる問題との認識を示し、これまで以上に綿密な連携を図り、対応していく必要があると応じた。

厚労省に対しては、支払基金に提出した「要望事項」に盛り込んだ各項目に対する支援を求めた。このうち、安定的な財政運営の取り組みにおいては、決算剰余金の保険者への還元にかかる取り扱いの検討、6年度に策定される移転売却計画における保有資産の売却収入等の施設および設備準備積立預金への積み立ての取り扱いの明確化、委託金の引き下げおよび適正水準の検討を要請。

山下保険課長は、支払基金関係の課題に対し、改革の進捗を踏まえ、1つひとつ着実に取り組みを進めていく方針を示した。審査支払事務手数料の3階層化については、処理コストに応じた手数料を検討していく方向性に賛意を示し、次年度契約の議論とともに進めていく必要があると言及。マイナ保険証の利用促進など医療DX関連事業について、引き続き、健保連と連携して取り組む考えを示した。

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