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健保ニュース 2024年3月下旬号

健保連・第527回理事会
全世代型の制度へ改革を訴求
宮永会長 総力挙げた活動を展開

健保連は15日、第527回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、いわゆる「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる「2025年問題」を控えた来年度は健保組合にとって大変重要な年度になると指摘。これまでの改革は現役世代の負担軽減を図るには不十分な内容で、多くの課題が積み残されているとの認識を示した。皆保険制度を将来世代に引き継ぐことは今を生きるわれわれ世代の使命と言及したうえで、保険者のフロントランナーとして加入者の健康と安心を支える重要な役割を果たしてきた健保組合が解散する事態は何としても防がなければならないと強調。制度の支え手である現役世代の負担を和らげ、全世代が納得して負担し合える制度へ改革を訴え続ける必要があるとした。健保連本部・支部の改革活動に加え、事業主との連携強化による健保組合の積極的な活動を要請した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 令和5年度も、残すところ2週間余りとなった。
 改めてこの1年間を振り返ると、コロナ禍は一定の収束を迎えたものの、緊迫した国際情勢のなかで、経済・社会の大きな変化を強く実感した1年だったように思う。

国内においては、円安や原材料、エネルギー価格の上昇に伴う物価高の影響が心配されるようになり、デフレが定着して「失われた30年」と言われてきた日本の経済や社会構造が大きく変わろうとしている。

また、サービス産業やインバウンドなどの経済活動も、コロナ前の勢いを取り戻してきたなかで、生成AI技術の進展と適用、宇宙分野の開発、半導体産業の隆盛など、企業の研究・投資活動も活発化してきた。

合わせて、能登半島地震の復旧工事等の加速や自然災害の激甚化に耐えうる国内インフラの再強化も進んでいくと思われ、日経平均株価も史上最高値を更新するなど、官民一体となった取り組みによって、経済の流れが確実に変わり始めている。

今年の春闘も佳境を迎えているが、昨年を上回る賃上げが進み始めており、日本が成長過程に向かうことを期待しているところだ。

われわれ健保組合にとっても、来年度は、いわゆる「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる「2025年問題」を控えた大変重要な年度となる。

これまでの改革では、一定以上の所得のある高齢者の2割負担や後期高齢者の保険料の見直しなどが盛り込まれたが、現役世代の負担軽減を図るには十分な内容とはいえず、まだまだ多くの課題が積み残されている。

さらに、拠出金の増加に加え、コロナ後の医療費も高い伸びを続けており、皆さんも予算編成に非常に苦慮されたことと思う。

先月の総会でも申し上げたとおり、世界に誇る日本の皆保険制度を将来世代に引き継ぐことは今を生きるわれわれ世代の使命でもある。

そして、その皆保険制度を中心的に支えてきた健保組合は、保険者のフロントランナーとして、長年にわたり加入者の健康と安心を支えるという重要な役割を果たしてきた。

この健保組合が解散される事態は、何としても防がなければならない。
 そのためには、制度の支え手である現役世代の負担を和らげ、全世代が納得して負担し合える制度へ、改革を訴え続ける必要がある。

健保連本部・支部の活動はもとより、各健保組合におかれても、事業主との連携をさらに深め、現状と課題を理解していただけるよう、積極的な活動をぜひともお願い申し上げる。

また、将来世代を育てる少子化対策も、国としての重要課題だ。
 先日、公表された令和5年の人口動態統計速報では、年間の出生数は8年連続で減少し、過去最少の75.8万人となることが明らかになった。

急速な人口減少は、日本の国力の低下、さらに、制度の持続性を危ぶませるものであり、社会保障の一翼を担うわれわれ健保組合もできる限り協力し、推進していかなければならない。

その意味で、今国会に提出された「子ども・子育て支援法等改正案」は、日本の未来を確かなものにしていくための第一歩である。

ただし、その財源については、すでに過重な負担をしている現役世代に過度に依存せず、徹底した歳出改革と、既存予算の活用を前提に、全世代で支える仕組みとすべきだ。

少子化対策は、効果が出るまで息の長い取り組みが必要であるからこそ、皆で知恵を絞り、継続できる仕組みにして欲しいと考えている。

また、今年の大きな課題であるマイナ保険証一体化については、12月の保険証廃止まで、既に9か月を切っている。

現場の健保組合の皆さんにおかれては、保険証廃止の準備作業とともに、マイナ保険証の利用促進に取り組む段階に入っている。

マイナ保険証は、医療DXの基盤となるものであり、質の高い医療の提供、医療の効率化・重点化にもつながる、大変重要なインフラとなる。

一方で、会員組合の皆さんの心配、負担は大きく、健保連としては国に対して、まず、 ①医療機関における働きかけの強化②マイナンバーカードのメリットの拡大③加入者、事業主はもとより国民への周知─の3点を中心に、具体的な対応を求めているところだ。

特に、マイナ保険証のメリットについては、自らの健康状況を常に確認でき、災害時にも医療情報が共有され、個々人に合った医療サービスを受けられるという利点を国民自身がしっかりと理解することが、何よりの普及策になる。

まずはマイナ保険証の利用促進に向けた周知広報活動、健保組合の皆さんへの支援、サポートを行っていく。

今期役員による理事会は、本日が最後となる。
 理事各位の皆さんには、この2年間、格別のご協力・ご尽力をいただいたことに、改めて心より感謝申し上げる。

本日の任期最後の理事会においても、皆さんの活発な審議をお願いして、私のあいさつとする。

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