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健保ニュース 2024年1月中旬号

令和6年度健保組合関係予算案
前年度予算比383億円増 総額1317億円を計上
追加支援430億円を反映

政府は12月22日の閣議で令和6年度予算案を決定した。このうち、厚生労働省所管の健保組合関係助成費は一般会計と復興特別会計を合わせて5年度当初予算に比べ383億円増の総額1317億円を計上。5年5月に成立した「医療保険制度改革関連法」にもとづく430億円の追加的な財政支援が反映された。追加支援は、①特別負担調整への国費充当の拡大(100億円)②高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充(230億円)③健保連が行う高額医療交付金事業に対する財政支援(100億円)─に充てる。このうち、②は「企業の賃上げ努力に配慮した拠出金負担軽減」を新設。厚労省は具体的な交付要件について関係者と調整を進めていくとした。

令和6年度予算における健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金などを含む一般会計分が5年度当初予算比382億9986万円増の1314億4615万円、復興特別会計にもとづく補助金が5年度当初予算と同額の2億5780万円で、合計1317億394万円を計上した。

一般会計分の約383億円の増額は、5年5月の通常国会で成立した「医療保険制度改革関連法」を踏まえ、被用者保険への財政支援を強化するために、6年度から国費による支援を430億円追加する特例措置が主な要因。

430億円の追加支援は、①特別負担調整への国費充当の拡大(100億円)②高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充(230億円)③健保連が行う高額医療交付金事業に対する財政支援(100億円)─にそれぞれ充当。

このうち、①は、拠出金負担が過大となる保険者の負担を全保険者と国費で軽減する現行の「高齢者医療特別負担調整交付金(100億円)」への国費充当を200億円に倍増。負担軽減対象となる保険者の範囲を広げるとともに、補助率を5年度の1/2から2/3へ拡充する。

②は、前期納付金負担の割合・伸びに着目して、納付金負担が過大となる保険者に対して補助金で支援する現行の「高齢者医療運営円滑化等補助金(既存分120.4億円、新規分600億円)」のほか、「企業の賃上げ努力に配慮した拠出金負担軽減(230億円)」を新設。

厚生労働省は、「企業の賃上げ努力に配慮した拠出金負担軽減(230億円)」の具体的な交付要件について、今後、関係者と調整を進めていく意向を示した。

③は、高額レセプトの発生した健保組合に対する支援を行う健保連の高額医療交付金事業について、国費による財政支援を制度化する。

他方、5年度から8万円という大幅な引き上げが行われた出産育児一時金に対して、増額分の一部を健保組合に補助した「健保組合等出産育児一時金臨時補助金(40億6149万円)」については、6年度以降、後期高齢者医療制度から支援金が充当されることも考慮し、6年度の予算に計上しなかった。

高齢者医療運営円滑化等補助金は958億6838万円(5年度当初予算比222億891万円増)で、このうち、高齢者医療支援金等負担助成事業は5年度当初予算比222億891万円増の952億9870万円。

内訳は、▽前期高齢者納付金に着目して拠出金の負担増を抑制する高齢者医療支援金等の負担に対する助成事業に950億4486万円(指定組合への助成7.9億円含む)▽被用者保険の適用拡大にかかる健保組合への財政支援に2億5384万円─となっている。

主に健保組合の拠出金負担を軽減する財政支援措置は、支援金等の負担に対する助成事業950億4486万円と拠出金が特に重い上位保険者の負担を軽減する高齢者医療特別負担調整交付金の200億円を合わせて全体で1150億4486万円を確保した。

高齢者医療支援金等負担金助成事業のうち、被用者保険の適用拡大にかかる健保組合への財政支援は、健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が4年10月から緩和され、現行の従業員数500人超の規模が100人超へと拡大されたことに対応。これにより、短時間労働者の加入が促進し、財政が逼迫する恐れのある健保組合に助成する。

6年度は、10月から健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が50人超へと拡大するため、予算概算要求では10月からの半年分の財政影響を勘案し、6億3460万円を設定していたが、4年度の交付実績等を勘案し、5年度当初予算比7億9109万円減の2億5384万円の計上となった。

前年度と同様、法定給付費の増加に着目した財政支援を行う。法定給付費にかかる所要保険料率(法定給付費/総報酬額)が1.5‰を超える部分に対し、▽1.5‰超~3‰以下(法定給付費相当額の1/2)▽3‰超~4.5‰以下(同2/3)▽4.5‰超(同3/3)─の合計額に2/3を乗じて算定する。

このほか、6年度の事務費負担金は26億6023万円で、一般分、介護分ともに被保険者1人当たり単価を据え置いた。

特定健診・保健指導補助金は、過去の実績を踏まえ、5年度当初予算比1億5245万円増の28億6989万円を確保し、特定健診・保健指導の実施に要する経費の3分の1相当を助成する。

高齢者医療制度円滑運営事業費補助金の保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業も、5年度当初予算と同額の4765万円を計上。同事業は、4年度から、糖尿病性腎症の重症化予防に加え、循環器病の予防・進行抑制を目的とした生活習慣病の重症化予防のための保健指導等も補助対象とする拡充を行い、63健保組合に補助した。

被用者保険運営円滑化推進事業の健保組合向け補助金「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」は、成果連動型民間委託契約方式(PFS)を実施している健保組合の予算を含め1億7990万円(5年度当初予算と同額)を計上。健保連向けデータヘルス推進事業は5年度当初予算と同額の4120万円を計上した。

被用者保険運営円滑化推進事業の「特定保健指導等支援の共同事業」は、健保組合の保健師共同活用に要する経費への助成に、前年度当初予算と同額の3億4858万円を計上。

復興特別会計は、東日本大震災による原発事故避難者の受診時一部負担減免に補助する災害臨時特例補助金や特定健診・保健指導補助金を盛り込んでいる。

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