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健保ニュース 2024年1月新年号

政府が「こども未来戦略」案
少子化財源は年間3.6兆円
支援金制度 28年度に1兆円確保

政府は12月11日に開催された第8回こども未来戦略会議(議長・岸田文雄首相)に、「こども未来戦略」案を提示した。与党との調整後、次回会合で取りまとめ、年内に閣議決定する。

「こども未来戦略」案は、少子化・人口減少のトレンドを反転させるため、これまでとは次元の異なる少子化対策の実現に向けて取り組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめた内容。

児童手当の抜本的拡充などを盛り込み、全体として年間3.6兆円程度の予算規模を見込む「こども・子育て支援加速化プラン」を支える財源については、①歳出改革(1.1兆円程度)②既定予算の最大限の活用等(1.5兆円程度)③歳出改革による公費節減および支援金制度の構築(1.0兆円程度)─で確保する方針を示した。

①は、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」における医療・介護制度等の改革を実現することを中心に取り組み、これまでの実績も踏まえ、2028年度までに公費節減効果について1.1兆円程度を確保。

また、②は、子ども・子育て拠出金など既定の保険料財源や、社会保障と税の一体改革における社会保障充実枠の執行残等の活用などにより、2028年度までに全体として1.5兆円程度を確保する。

③は、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で2028年度にかけて2026年度から段階的に支援金制度を構築し、2028年度に1.0兆円程度を確保するとした。

2028年度にかけて安定財源を確保するまでの間に財源不足が生じないよう、つなぎとして、こども・子育て支援特例公債(こども金庫が発行する特会債)を発行する。

「加速化プラン」に盛り込まれた施策を実施するために必要な法案とともに、こども金庫の創設および支援金制度の導入等に関する法案を来年の次期通常国会に提出するとした。

こども・子育て予算倍増に向けては、「加速化プラン」の効果を検証しながら、政策の内容・予算をさらに検討。こども家庭庁予算で見て、2030年代初頭までに、国の予算またはこども1人当たりで見た国の予算の倍増をめざす方針を示した。

こども・子育て支援金
後期高齢者含む全世代で拠出

また、「こども未来戦略」案は、▽こども・子育て支援金制度▽こども・子育て支援特別会計─の内容に沿って、2024年通常国会への法案提出に向け引き続き検討する方針を示した。

「こども・子育て支援金制度」は、支援金の充当対象事業にかかる費用の拠出のため、医療保険者が、こども・子育て支援納付金を納付。納付に充てる費用として、医療保険者が被保険者等から保険料と合わせて支援金を徴収することとした。

各年度における支援納付金の総額は、毎年末の予算編成過程で見込み額をもとに、こども家庭庁が支援金を拠出する立場にある関係者等の意見を聴取。その年度までに生じた実質的な社会保険負担軽減の効果の範囲内で決定する。

支援納付金総額に対する医療保険者間での費用負担の分担は、▽後期高齢者医療制度とその他の医療保険制度は後期高齢者と現役世代の医療保険料負担(現行の出産育児支援金における按分と同様)▽被用者保険と国民健康保険は加入者数▽被用者保険間は総報酬─に応じて按分するとした。

医療保険者が被保険者から徴収する支援金は、被用者保険、国民健康保険・後期高齢者医療制度それぞれの各医療保険者の支援納付金総額に照らし、医療保険料の賦課・徴収の方法を踏まえ、医療保険者ごとに設定。被用者保険は、実務上、国が一律に示す。

医療保険者への財政支援として、保険者の支援納付金の納付業務にかかる事務費の国庫負担等の措置を講じるほか、施行時の医療保険者における準備金等の必要な経費について、必要な措置を検討するとした。

実質的な社会保険負担軽減効果の範囲内で構築することや、2028年度までの各年度の支援金総額、歳出改革(全世代型社会保障制度改革)の推進の基本的考え方など、必要な事項を法律で規定する方向性を示した。

このほか、「こども・子育て支援特別会計」は、支援納付金やこども・子育て特例公債の収入にかかる決算剰余金が、支援納付金を充当する経費以外に使われることのないよう、「こども・子育て支援勘定」に、「こども・子育て支援資金」を設置して分別管理するとした。

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