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健保ニュース 2024年1月新年号

健保連・第525回理事会
宮永会長 改革実現へ強くアピール
保険者機能発揮し加入者支援

健保連は12月15日、第525回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、急速な少子高齢化と支え手である生産年齢人口の減少という大きな難題に直面するなかで、「われわれが誇りうる皆保険制度を持続させ、より良い、より強い制度として、将来世代に引き継いでいく必要がある」と強調した。このため、10月に開催した健保組合全国大会では、年齢に関わりなくすべての国民が能力に応じて負担し支え合い、全世代の納得感を得られる社会保障制度の実現を求めたと言及。今大会で示した団結力と改革実現の熱意を継続し、今後もわれわれの主張、要求を強くアピールしていくとの決意を表明した。他方、健保組合としても、労使連携のもと、これまで以上に保険者機能を発揮して加入者の健康を支える取り組みを続けていかなければならないと指摘し、「地道に為すべきことを為していくことが、健保組合の価値を高め、加入者に必要とされる存在であり続ける」との考えを示した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 はじめに、10月の健康保険組合全国大会は、コロナ禍を超えて4年ぶりに、従来の規模に戻して開催した。

全国から3000名の方にお集まりいただき、さらにWEBでの視聴を加えると、これまでよりも多くの方に参加いただき、盛会裡に終えることができた。

理事各位、また都道府県連合会の皆さんには、多忙な時期にもかかわらず、協力をいただいたことに厚くお礼申し上げる。

今回の全国大会には、過去最多の60名を超える国会議員本人も来場され、また、大会終了後には、われわれの主張と強い思いを政治の場へしっかりとアピールするため、都道府県連合会の協力のもと、地元選出国会議員への個別要請も積極的に行っていただいた。

これまでも訴えてきたことだが、われわれは急速な少子高齢化と、支え手である生産年齢人口の減少という大きな難題に直面している。

一方で、われわれが誇りうる皆保険制度を持続させ、より良い、より強い制度として、将来世代に引き継いでいかなければならない。

そのため、大会では、年齢に関わりなく全ての国民がその能力に応じて負担し支え合い、全世代の納得感を得られる社会保障制度の実現を求めた。

また、質の高い医療の提供や、医療DXを推進するための重要なインフラであるマイナンバーカードと健康保険証の一体化の着実な実施、「必要な時に必要な医療にアクセスできる体制」のためのかかりつけ医機能の強化、事業主との近い関係を生かして加入者の健康を守る健保組合の保険者機能の一層の進化を強く訴えたところだ。

今大会で示した団結力と、改革実現の熱意を継続し、今後もわれわれの主張、要求を強くアピールしていく。

さて、健保連では、11月24日の日経新聞朝刊に「すべての人で子育てを支え合うため 今、改革が必要だ」 という広告を掲載した。

わが国の昨年の出生数は77万人、今年2023年の出生数の見込みは70万人台前半と8年連続で過去最少を更新する見通しだ。

私は、いわゆる団塊の世代だが、われわれの頃は年間260万人を超える出生数だったので、当時に比べて、およそ7割減となる。

ここに来てさらに少子化は加速しており、改めて少子化の急速な進行に危機感を感じている。

政府は、少子化・子育て対策を最重要課題に位置づけて、「こども・子育て支援加速化プラン」を打ち出すなど、少子化対策に取り組んでいるが、出生率を回復し、出生数を反転させるには、社会全体の意識の変革、企業・職場の働き方の改革、子育て世帯への経済的支援など、複合的で、息の長い取り組みが求められる。

また、少子化の流れを止めることは、将来の支え手の減少に歯止めをかけ、社会保障の持続性を高めることにもつながる。

われわれ、国民皆保険の中核を担う健保組合にとっても、少子化対策は、文字どおり「待ったなしの課題」であると言える。

さらに、出生数が回復しても、その効果が見えてくるのは、生まれてくる子どもたちが成人する20年から30年先になるので、先を見据え、辛抱強く施策を行い続ける必要がある。

緊急度が高く、また持続性が求められる課題であるが、数十年にわたり、切れ目なく続けていかなければならないからこそ、その財源は、負担可能な水準で、全世代が納得して、広く支えるべきものだと考える。

財源に関しては、12月中に、少子化・子育て対策の新たな支援金制度の骨格がまとまる予定だが、特に、現役世代の理解、納得を得られるよう丁寧に進めていかなければならない。

全世代で支え合うという、改革の理念を忘れず、今一度、われわれの主張を各方面に強く訴え、理解の輪を広げていきたい。

また、12月中には、政府の令和6年度予算編成が大詰めを迎えるが、これに合わせて、来年度の「診療報酬・介護報酬」ダブル改定の改定率も決定される。

診療側は、現下の物価上昇や賃金水準の動向を踏まえて、例年以上に、強い方針で本体プラス改定を求めている。

それに対して、われわれ支払側は、賃金、物価の動向を考慮しつつも、医療費の増加基調と医療保険制度の持続可能性を鑑みれば、今は安易な診療報酬の引き上げを行う環境にはなく、医療、介護従事者の処遇改善など 配分の見直しによる、メリハリの効いた改定とすべきだと訴えている。

診療報酬の引き上げは、患者の窓口負担や保険料の上昇に直結するので、客観的なデータや明確な根拠に基づいて議論をしていくことが重要だ。

薬価引き下げ分についても、国民に還元することはもとより、現役世代、子育て世代の負担抑制に資する改定となるよう引き続き求めていく。

また、来年秋のマイナンバーカードと健康保険証一体化に向けては、会員組合の皆さんには、様々な対応、取り組みを講じていただき、改めて、感謝申し上げる。

オンライン資格確認等システムは、医療DXの基盤となるものであり、質の高い医療の提供、医療の効率化・重点化にもつながる、大変重要なインフラだ。

健保連としても、先日成立した5年度補正予算、また、6年度政府予算案のなかで、マイナ保険証関係への助成や、過重な拠出金負担に苦しむ健保組合への必要な補助を獲得できるよう、ロビー活動を含めたアピールを積極的に行っていく。

また、健保組合としても、労使連携のもと、これまで以上に保険者機能を一層発揮して加入者の健康を支える取り組みを続けていかなければならない。

地道に為すべきことを為していくことが、健保組合の価値を高め、ひいては、加入者に必要とされる存在であり続けることにつながるのではないか。

最後になるが、本日の理事会は、来年度の事業計画、予算の基本方針について諮る。
 理事各位の忌憚のない、意見・議論をお願いする。

また、今年の理事会も本日が最後となるが、健保組合にとって厳しい状況が続くなか、本年1年も本会の運営に多大なる支援を賜ったことに厚く心よりお礼を申し上げるとともに、われわれの要求実現に向けて来年が良い年になること、また、皆さんと皆さんの家族の健勝と益々の発展を祈念申し上げ、私からのあいさつとする。

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