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健保ニュース 2023年10月上旬号

協会けんぽの5年収支見通し
保険料率10%維持 7年度に赤字へ転落
6年度平均料率は年末に決定

全国健康保険協会(安藤伸樹理事長)は9月20日、令和6年度から10年度まで5年間の協会けんぽ・収支見通しを運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)に提示した。

平均保険料率を現行の10%に据え置いたうえで、賃金上昇率を過去10年平均値(0.7%)とした場合、単年度収支は7年度に赤字へ転落すると見込んだ。同委員会は年末に向けて、6年度およびそれ以降の保険料率のあるべき水準について議論を進めていく。

試算では、6年度以降の賃金上昇率を①~③の3パターンで集計した。各パターンの前提は、①平均標準報酬月額の増減率の直近10年(平成25~令和4年度)における平均「0.7%」②上振れを想定して直近10年の平均標準報酬月額の増減率を2倍した「1.4%」③賃金上昇率「0.0%」─で、それぞれ平成28年4月の標準報酬月額の上限改定の影響(0.5%増)を除いている。

平均保険料率を10%に据え置いた場合、①、③は令和7年度以降、②は9年度以降に赤字の見込みとなった。

①~③の均衡保険料率(単年度収支が均衡する保険料率)をみると、①は▽6年度9.8%▽7年度10.0%▽8年度10.1%▽9年度10.2%▽10年度10.4%─で、8年度の収支均衡には現行の保険料率を上回る10.1%の設定が必要となる。

②は、▽同9.8%▽同9.9%▽同9.9%▽同10.0%▽同10.1%─。③は、▽同9.8%▽同10.1%▽同10.2%▽同10.4%▽同10.6%─となった。

事務局は、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る財政の赤字構造が解消されていないことをはじめ、▽医療給付費が新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回り高い伸びを示している▽団塊の世代の75歳到達により後期高齢者支援金の急増が見込まれる▽高額医薬品の薬価収載など医療費増加に影響する要因が存在する─などの要因から、「協会けんぽの財政状況は楽観を許さない状況にある」と指摘。平均保険料率10%を維持したとしても、数年後には準備金を取り崩さねばならないと強調した。

委員からは、保険料率を10%に維持すべきとの意見が多数あがった一方、多額の準備金残高が積み上がっていることを踏まえ、「加入者からは保険料率引き下げを求める声も出ており、納得感のある保険料率の議論が必要」との指摘もあった。

6年度の平均保険料率は、支部評議会の意見も踏まえ、12月に決定する予定となっている。

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