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健保ニュース 2023年10月上旬号

年金部会が「年収の壁」を議論
厚労省 手取り収入減少の対応策

社会保障審議会年金部会(菊池馨実部会長)は9月21日、令和7年の次期制度改正に向けて、「第3号被保険者制度」と「女性の就労の制約と指摘される制度等(いわゆる「年収の壁」等)」をテーマに議論を行った。

厚生労働省はこの日の会合で、第3号被保険者が働き収入が増加した場合、特定の要件を満たすことにより社会保険料が発生し手取り収入が減少するいわゆる「年収の壁」について、「106万円の壁」と「130万円の壁」を中心に概要とポイントを説明。

そのうえで、第3号被保険者が「年収の壁」を意識せずに働けるよう、▽短時間労働者への被用者保険の適用拡大▽最低賃金の引き上げ▽被用者保険の適用拡大の推進に向けた広範かつ継続的な広報・啓発活動の展開─などに取り組むとした。

このうち、「106万円の壁」への対応策については、「保険料負担による手取り収入の減少をどうするか」を出発点として考えることが基本と整理。手取り収入が減少しない仕組みとして、「壁を超えた労働者の保険料負担の免除」や「基礎年金(満額)に加えて標準報酬月額に応じた報酬比例部分の給付」などの具体例を提示した。

一方で、手取り収入が減少しない仕組みを導入する場合、▽負担についての公平性▽社会保険料の労使折半負担の原則との整合性、事業主の理解▽健康保険との関係─などの課題が生じると指摘。

このうち、健康保険との関係では、従来のように今回の見直しを厚生年金保険と健康保険で一体的に進めた場合、本人負担を軽減すると、その者が所属する医療保険者において保険給付は変わらないまま保険料収入は減少し、財政的な影響が生じると問題提起した。

委員からは、「年収の壁」の解消に向け、「被用者保険の適用拡大をさらに進めるべき」との声が多数あがったほか、事業主と労働者が保険適用のメリットを理解できるよう、制度の周知広報に継続して取り組むべきとの意見があった。

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