HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2023年10月上旬号

健保ニュース

健保ニュース 2023年10月上旬号

中医協がコロナ特例報酬を承認
10月1日から継続も点数縮小
6年度改定 恒常的な感染症対応へ

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は9月15日、持ち回りで総会を開催し、「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取り扱い」を承認した。

「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取り扱い」は、令和5年5月8日以降に感染症法上の類型が5類へ変更された後の新型コロナ診療の実態等を踏まえ、10月1日以降、診療報酬上の特例措置を縮小する。さらに、6年度診療報酬改定で恒常的な感染症対応として見直しを行うこととした。

診療報酬上の特例措置のうち、「外来医療」は、必要な感染対策を講じたうえで行う疑い患者への診療は、感染予防策の合理化や各医療機関における経験の蓄積により業務が効率化している観点から、評価を見直す。

また、コロナ患者の入院調整を行った場合の評価を縮小するとともに、コロナ患者へ療養指導を行った場合の評価(147点)は終了することとした。

「在宅医療」は、往診時に必要な感染対策や、介護保険施設等に対する緊急往診やオンライン診療について、感染対策等の効率化を踏まえ評価を大幅に引き下げる。

「入院」は、効率化等を踏まえ、感染対策の評価を縮小するとともに、必要時における個室管理・陰圧室管理の評価は継続。

業務内容・人員体制が一定程度効率化されている「重症・中等症患者の特例等」は一定程度評価を見直す。また、回復患者への対応の経験の蓄積による業務の効率化を踏まえ、回復患者を受け入れた場合の特例は評価を適正化することとした。

「歯科」は、コロナ患者に対して延期が困難な歯科治療を実施する場合の感染対策の評価を縮小する。

また、「調剤」は、薬剤師による緊急の医薬品の提供・服薬指導等を介護保険施設等の入所者等の患者に実施した場合の評価を継続するとともに、コロナ患者への医薬品の提供・服薬指導等の評価を見直す。

このほか、施設基準等について、▽急激な感染拡大時等に入院患者の受け入れが可能な病棟を迅速に整備するために必要な特例は6年3月31日まで継続▽平均在院日数など診療実績等にかかる要件に関する特例は原則として5年9月30日で終了▽薬剤など新型コロナの特性を踏まえ出来高算定を可能にしているものは6年5月31日まで継続─するとした。

健保連の松本真人理事は、「新型コロナの診療や感染症対策の実態は、季節性インフルエンザ等と概ね同等のレベルまで効率化されているにもかかわらず、今回の見直し案は、多くの特例措置を継続するものであり、健保連の主張とは距離がある」と指摘する一方、「5月の見直しに続き、多くの項目で現行の半分以下まで点数を引き下げるということで、完全廃止に向けた道筋は一定程度みえてきた」との認識を示した。

支払側の眞田享委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)は、「特例の継続を前提とする見直しは違和感がある」と言及。6年度診療報酬改定に向けて、今回継続される特例措置を前提とせず、改めてゼロベースで議論するよう強く求めた。

診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、施設基準の特例扱いについて、今後の新型コロナのクラスター発生や入院調整等の状況、新型コロナ診療や一般診療に大きな支障が出る可能性を慎重に見極めながら、今後の柔軟な対応を検討するよう要請した。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「当面は必要な新型コロナにかかる特例対応を継続するとともに、今後、感染拡大や病原性が強まるなど予想外の事態が発生した場合に必要な対応を行う、適切な運用が求められる」との考えを示した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年