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健保ニュース 2023年9月下旬号

厚労省が全体チェックの概要
佐野副会長 国が全費用の負担を
保険者の事務負担軽減も要望

社会保障審議会医療保険部会(田辺国明会長)は7日、オンライン資格確認等をテーマに議論した。

この日の会合では、厚生労働省が、オンライン資格確認における登録データの正確性の確保に向けた全体チェックのスケジュールを示した。

11月までに登録済みデータ全体についてJ-LIS照会・突合を完了させ、不一致の内容を踏まえ情報の閲覧を停止する。その後、優先度に応じて段階的に、保険者・事業主で確認を行ったうえで、12月以降、必要に応じて本人確認を実施。本人の情報と確認できた場合に、閲覧停止を解除することとした。

登録済みデータの全体チェックは、J-LIS照会により取得した「生年月日、性別、カナ氏名・漢字氏名、住所」と医療保険のデータ(中間サーバ内のデータ)を突合する。

現在加入している医療保険で登録されている情報について、J-LIS照会結果との不一致の内容を踏まえ、①生年月日と性別どちらか不一致②カナ氏名と漢字氏名いずれも不一致、カナ氏名と漢字氏名のどちらか不一致で住所も不一致③住所が不一致─の場合、①は資格情報と医療情報、②と③は医療情報の閲覧を停止。

11月以降、保険者・事業主で確認・点検を行った後、①は12月、②と③は3月を目途に必要に応じて本人確認を実施。なお、全項目一致の場合には、令和6年5月以降に「資格情報のお知らせ」等で通知することとした。

登録済みデータの全体チェックについて、健保連の佐野雅宏副会長は、「確認・点検作業や本人への確認、閲覧停止解除など、保険者や事業主に一連の事務負担が生じることになる」と指摘し、負担軽減にも資する合理的な方法による実施を訴えた。

さらに、「今回の全体チェックは、国が主体的に実施するもの」との認識を示したうえで、費用の全額を国で負担するよう要請。合わせて、オンライン資格確認等システムやマイナンバーカードと健康保険証の一体化に要するコストへの必要な財政支援を強く求めた。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「登録済みデータ全体のチェックの確認作業にかかる保険者の負担は相当なものになり、加入者や事業主との照会を巡るトラブルも多発しかねない」と言及。負担やトラブルを対応可能な範囲にとどめ、正確かつ効率的な確認作業が行われるよう、保険者の声を踏まえた詳細な設計を要望した。

菊池馨実委員(早稲田大学理事・法学学術院教授)は、「現実問題として、人の手を介した作業が介在せざるを得ない限り、紐付け誤りに関するミスが0件になることは非現実的な想定である」と問題提起し、「ミスが生じた時にどう迅速・適切に是正するかの視点を持ちながら取り組んでいただきたい」と述べた。

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