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健保ニュース 2023年7月上旬号

4年社会医療診療行為別統計
医科歯科 1件当たり点数増加
薬価引き下げ改定で調剤減少

厚生労働省は6月21日、「令和4年社会医療診療行為別統計」の結果を公表した。NDBに蓄積されている4年6月審査分の医科、歯科、薬局調剤のレセプト全数を集計し、前年と比較したところ、医科診療のレセプト1件当たり点数は入院、入院外ともに前年比1.8%増、歯科診療は同0.5%増といずれも上昇。他方、薬局調剤は改定による薬価引き下げの影響を受け、1件当たり点数は同2.6%減で、マイナスの伸びとなった。

「社会医療診療行為別統計」は、医療給付の受給者にかかる診療行為の内容、傷病の状況、調剤の使用状況等を明らかにし、医療保険行政に必要な基礎資料を得ることを目的に毎年作成している。

社会保険診療報酬支払基金支部、国民健康保険団体連合会に提出され、4年6月審査分として審査決定された医療保険制度のレセプトのうち、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積されている全数を集計の対象とした。

医科8296万2796件、歯科1890万2659件、薬局調剤5374万7600件のレセプトを集計。集計対象の「レセプト件数」は、前年に比べ5.0%増加(医科入院1.7%増、医科入院外4.9%増、歯科4.4%増、薬局調剤5.5%増)しており、16.5%増と大幅に伸びた前年に続きプラスの伸びとなったものの、コロナ禍前の水準には戻っていない。

他方、「レセプト日数(薬局調剤は受付回数)」は同3.7%増(医科入院0.2%減、医科入院外4.4%増、歯科2.5%増、薬局調剤4.8%増)、「レセプト点数」は同4.7%増(同3.6%増、同6.8%増、同4.9%増、同2.7%増)とそれぞれ増加した。(4年統計の結果概要は以下のとおり)


【医科診療・入院】

医科診療・入院は前年と比べてレセプト1件当たり点数が1.8%増の5万9304.4点、1日当たり点数が3.8%増の3851.7点だった。

診療行為別にみると、1件当たり点数が最も高い「入院料等」は前年比1.0%減の2万1328.0点。次いで、「診断群分類による包括評価等」が、同3.1%増の1万7696.2点となっている。

診療行為別の1日当たり点数は「入院料等」(構成割合36.0%)、「診断群分類による包括評価等」(同29.8%)、「手術」(同18.2%)、「リハビリテーション」(同5.6%)の順に高かった。

また、「初・再診」の1件当たり点数(前年比16.1%増)と1日当たり点数(同18.4%増)が大幅に上昇。厚労省は、令和3年9月28日付の「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い(その63)」により、コロナ疑い患者への診療に対して「二類感染症患者入院診療加算」を算定できるようになったことが大きく影響したと説明した。

1件当たり日数は15.40日で前年から0.30日減少した。
 原則74歳までの一般医療と75歳以上の後期高齢者医療に分けると、1件当たり点数は一般5万7131.0点、後期6万1260.4点で後期が4129.4点高い。

1日当たり点数は一般4535.4点、後期3419.1点で一般が1116.3点高くなっている。診療行為別の構成割合でみた場合、後期は一般に比べ「入院料等」の割合が高く、「手術」と「診断群分類による包括評価等」が低かった。

1件当たり日数は一般12.60日、後期17.92日で、後期が5日程度長くなっている。
 病院と診療所に分けると、1件当たり点数は病院6万1050.0点、診療所2万2258.9点で、病院が2.7倍高い。

1日当たり点数は病院3882.8点、診療所2603.4点で、病院が1.5倍高かった。病院を種類別でみると、「特定機能病院」が8380.4点で最も高く、「精神科病院」が1432.3点で最も低い。

1件当たり日数は病院15.72日、診療所8.55日で、病院が7日程度長かった。病院を種類別でみると、「精神科病院」が28.50日で最も長く、「特定機能病院」が9.74日で最も短い。

DPC/PDPSにもとづく入院1日当たり定額レセプトと、それ以外の入院レセプトを比較すると、1件当たり点数はDPC/PDPSが前年に比べ3.1%増の6万9244.9点、それ以外が同0.1%減の5万768.5点だった。

1日当たり点数はDPC/PDPSが同4.7%増の6956.1点、それ以外が同1.0%増の2529.5点と、いずれも増加。診療行為別の構成割合は、DPC/PDPSで「診断群分類による包括評価等」が55.3%、それ以外で「入院料等」が71.6%と最も多くを占めた。

1件当たり日数はDPC/PDPS9.95日、それ以外20.07日で、10日以上の開きがあった。


【医科診療・入院外】

医科診療・入院外は、前年に比べて1件当たり点数が1.8%増の1481.5点、1日当たり点数が2.3%増の1010.6点で、それぞれ上昇した。

診療行為別にみると、1件当たり点数で最も高いのは「検査」で前年比3.9%増の286.0点、次いで、「初・再診」が同3.8%増の202.4点、「注射」が同1.9%増の183.4点だった。

1日当たりの点数が最も高かったのは「検査」の195.1点(前年比4.4%増)で、構成割合全体の19.3%を占めた。次いで、「初・再診」が138.1点(同4.3%増)で全体の13.7%、「注射」が125.1点(同2.4%増)で全体の12.4%を占める。1日当たりの点数が最も高かったのは「検査」の195.1点(前年比4.4%増)で、構成割合全体の19.3%を占めた。次いで、「初・再診」が138.1点(同4.3%増)で全体の13.7%、「注射」が125.1点(同2.4%増)で全体の12.4%を占める。

また、前年と比較した「手術」の1件当たり点数(21.8%増)と1日当たり点数(22.4%増)の大幅な増加について厚労省は、4年4月から導入された不妊治療の保険適用の影響が大きいと分析した。

1件当たり日数は1.47日で前年に比べ0.01日減少した。
 入院外を一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数が一般1365.5点に対し後期1773.8点、1日当たり点数が一般980.7点に対し後期1074.1点だった。1件当たりと1日当たりの点数のいずれも後期が一般を上回る。診療行為別に構成割合をみると、後期は一般より「在宅医療」が高く、「初・再診」が低い。

1件当たり日数は一般1.39日、後期1.65日で、後期が0.26日長い。
 病院と診療所で比較すると1件当たり点数は病院2664.9点、診療所1113.8点、1日当たり点数は病院1819.5点、診療所759.6点で、それぞれ病院が2.4倍高かった。

病院を種類別でみると、1日当たり点数が最も高かったのは「特定機能病院」で3460.1点、最も低かったのは「精神科病院」で、862.9点だった。診療行為別の構成割合をみると、診療所は病院より「初・再診」と「医学管理」が高く、「注射」と「画像診断」が低い。

1件当たり日数は病院1.46日、診療所1.47日で、大きな差はなかった。


【院外処方】

医科の入院外における処方件数をベースにした院外処方率は79.1%で、前年と比較して0.8ポイント増加した。

病院・診療所別にみると、病院は前年に比べ同0.4ポイント増の81.5%、診療所は同0.9ポイント増の78.4%にそれぞれ上昇した。


【歯科診療】

歯科診療の1件当たり点数は前年比0.5%増の1278.3点、1日当たり点数は同2.3%増の796.3点だった。

診療行為別の1件当たり点数は、「歯冠修復及び欠損補綴」が最も高く、同1.1%減の408.0点。

診療行為別の1日当たり点数においても、「歯冠修復及び欠損補綴」が同0.7%増の254.1点で最も高く、構成割合全体の31.9%を占めた。次いで、「処置」が同2.4%減の155.8点(構成割合の19.6%)、「医学管理等」が同5.8%増の115.4点(同14.5%)、「初・再診」が同2.2%減の99.8点(同12.5%)と続く。

1件当たり日数は1.61日で前年に比べ0.03日減少している。
 一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数が一般1237.8点、後期1439.1点、1日当たり点数が一般790.4点、後期817.0点で、いずれも後期が一般を上回った。

年齢階層別にみると、75歳以上が1件当たり点数1435.8点、1日当たり点数815.6点で、ともに最も高く、一般の0~14歳が1件当たり点数918.5点、1日当たり点数752.7点で、それぞれ最も低くなっている。

診療行為別の1日当たり点数の構成割合を一般と比較すると、後期は「在宅医療」と「歯冠修復及び欠損補綴」の割合が高い一方、「処置」が低い。1件当たり日数は一般1.57日、後期1.76日で後期が長かった。


【薬局調剤】

薬局調剤の1件当たり点数は1070.5点で、前年比2.6%減少した。処方箋受付1回当たり点数は同2.1%減の909.7点だった。

調剤行為別にみると、「薬学管理料」が1件当たり点数同146.9%増、受付1回当たり点数同148.3%増とそれぞれ上昇。他方、「調剤技術料」は1件当たり点数同37.3%減、受付1回当たり点数同37.0%減、「薬剤料」は1件当たり点数同3.4%減、受付1回当たり点数同2.8%減とそれぞれ低下した。

調剤点数の7割を占める薬剤料が、4年度の薬価引き下げ改定によりマイナスの伸びとなったことに伴い、薬局調剤全体が減少した。

調剤技術料と薬学管理料は、4年度改定で、調剤技術料の一部が薬学管理料へ再編されたことにより、増減幅が大きく変動した。

受付1回当たり点数の構成割合は、「薬剤料」が72.3%を占め、「調剤技術料」が13.9%、「薬学管理料」が13.6%を占める。レセプト1件当たり処方箋受付回数は前年と同様、1.18回だった。

一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数は一般974.8点に対し後期1289.9点、受付1回当たり点数は一般845.2点に対し後期1048.5点で、いずれも後期が1.3倍程度高い。

受付1回当たり点数に占める「薬剤料」の割合は一般71.7%、後期73.2%。年齢階級の上昇に比例して点数は高くなっている。1件当たり受付回数は一般1.15回、後期1.23回だった。


【薬剤の使用状況】

レセプト1件当たりの薬剤点数階級別件数の構成割合は、「500点未満」が院内処方74.0%、院外処方66.3%と、いずれも7割程度を占める。

年齢が高くなるほど「500点未満」の割合が低下し、75歳以上では院内65.4%、院外54.7%まで落ち込む。

1件当たり薬剤種類数別件数の構成割合は、「1種類」が院内(27.5%)、院外(22.2%)とも最も高く、平均すると院内は3.23種類、院外は3.66種類となる。年齢階級ごとにみた場合、院内・院外とも75歳以上で「7種類以上」の割合が2割程度を占めた。

薬効分類別点数の構成割合は、入院の場合、「腫瘍用薬」が27.7%で最も高い。院内処方では「腫瘍用薬」が24.3%、院外処方では「その他の代謝性医薬品」が17.5%とそれぞれ最も高かった。

後発医薬品は、薬剤点数に占める割合が前年から0.4ポイント減の19.0%(一般医療18.1%、後期医療20.6%)となる。

このうち入院が同0.1ポイント増の14.5%、入院外の院内処方が同0.4ポイント減の16.4%、院外処方が同0.5ポイント減の19.6%で、入院を除き低下。病院は13.4%、診療所は24.6%だった。

薬剤種類数(後発品のない先発品を除いた)に占める後発医薬品の種類数の割合は78.2%で前年から0.3ポイント上昇した。

このうち入院は同1.1ポイント減の73.2%、院内処方が同0.3ポイント減の66.7%、院外処方が同0.4ポイント増の80.7%。病院は79.1%、診療所は77.9%だった。

薬効分類別点数の構成割合をみると、入院は「抗生物質製剤」が最も高い23.7%を占め、院内処方と院外処方では「循環器官用薬」が最も高く、それぞれ23.3%、25.7%を占めた。

このほか、医科と薬局調剤を合算した総点数に占める薬剤料の割合のうち、入院は前年比でヨコバイの9.0%、入院外が同1.0ポイント減の39.1%だった。入院の内訳は投薬2.2%、注射6.1%で、入院外の内訳は投薬27.0%、注射10.4%となっている。

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