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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.24

そろそろ春を迎える準備を 春野菜と魚介の生姜風味和え

寒い冬もいよいよ終盤。中国では冬の間は大汗をかかないようにし、体内に陽の気を蓄えることが健康に良いとされています。そして春分を迎えて昼夜の長さが同じになると、早めに起床して運動をする人が増えます。気温が上がり始めるのに合わせて、今度は陽の気を外に出していくのです。

春の訪れにからだがうまくついていけないと、めまいがしたり、眠気を覚えたりしやすくなります。少し早めに起きて適度にからだを動かして、生活リズムを変えてみてはいかがでしょうか。

食事では山菜や春野菜をとるようにしましょう。それらは漢方では冬場に体内に溜まった毒素を排出する作用があると考えられてきました。また苦みやアクが脳を目覚めさせるといわれます。今回ご紹介する料理にはセリとアスパラガスを使いました。タラの芽やふきのとう、春キャベツなどでも代用できます。美味しく作るコツは生姜ソースのごま油を煙が出るまで加熱すること。そうすると生姜の風味がよく出ます。

これまで担当させていただいたこの連載は、今月号で最終となります。2年間ありがとうございました。今後も皆様の健康のお役に立てるよう、食を通じた活動を続けてまいります。皆様もどうぞお元気で。

春野菜と魚介の生姜風味和え
  • 殻と背ワタを取って3等分に切ったエビを熱湯にさっとくぐらせ、水気をしっかり取る。イカもワタと目を取って一口大に切り、さっと茹でて水気をしっかり取る。
  • 皮の固い部分を剥いたアスパラガスを一口大に切り、セリとともに軽く茹で、一口大に切る。
  • 耐熱ボウルに生姜、砂糖、塩、胡椒を入れ、そこにフライパンで煙が出るまで熱したごま油を注ぐ。すぐに(1)と(2)、黒豆を加えて手早く和える。
  • (3)を器に盛り、香菜とクコの実を飾る。

中国薬膳では季節を5つに分け、食材を区分します。1日に5色を食べ、さらに季節の色の食材を多めに摂ることをお勧めします。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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