イキイキごはん
季節の食材を使った、簡単でおいしいお料理を、管理栄養士・食生活アドバイザー・調理師の堀 知佐子先生がご紹介します。

牛肉はタンパク質の量が多いうえ、ビタミンB群や鉄分・亜鉛なども豊富に含みます。鉄分は、野菜などに含まれるものより数倍吸収のよいヘム鉄なのもうれしい点です。生活習慣病が気になる中高年や貧血気味の女性にもお勧めできます。
ほかにも“幸せホルモン”とも呼ばれる脳内物質「セロトニン」を作る材料の「トリプトファン」が豊富です。セロトニンは脳神経や自律神経に働きかけ、落ち込んだ気持ちを切り替えて明るく前向きにしてくれます。また、セロトニンは夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変わり、メラトニンが分泌されると、寝つきがよくなったり、睡眠の質が上がるとされています。
里芋の粘り成分をしっかり摂れる「とろとろ煮」は口当たりもよく、消化もよいメニューです。里芋は皮ごと茹でてからむき、煮ることで粘り成分が煮汁に溶けだし、とろみが出て食べやすくなります。茹でてからであれば皮も簡単につるりとむけます。
「錦和え」とは、錦のように鮮やかに美しく仕上げた和えものという意味です。大根の白、にんじんの赤、卵の黄色、三つ葉の緑、きくらげの黒と5色を使い、彩りよく仕上げました。
下記分量で791kcal、塩分3.6g

- 牛肉は、フライパンで全面に焼き色がつくまで焼く。
- 鍋に酒とみりんを入れて火にかけ、沸騰したらしょうゆを入れて火を止める。
- ビニール袋に[1][2]を入れて空気を抜いて口を縛り、湯せんに8分かけて取り出し、そのまま冷ます。
- 冷めたら、袋に残った調味液を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら水溶き片栗粉でとろみをつける。
- 牛肉を切りだして器に盛りつけ、[4]のソースをかけて粒マスタードとベビーリーフを添える。
牛もも肉をビニール袋に入れることで味がしみ込みやすくなり、調味料を減らすことができます。
1人分 87kca、塩分0.5g

- 里芋は根の部分を切って鍋に入れ、芋の頭がみえ隠れするくらい(ひたひた)に水を入れて火にかける。竹串が通るまで茹でて皮をむき、縦4等分に切る。
- 鍋にだし汁と長ねぎ、[1]の里芋を入れて火にかけ、沸騰したら火を弱め菜箸などでかき混ぜる。煮崩れたら、塩とごま油を入れて再度混ぜ、火を止める。
- [2]を器に入れて、小ねぎと生姜を散らす。
1人分 66kcal、塩分1.1g

- 卵はよく割りほぐしてフライパンで薄焼き卵を2〜3枚作り、なるべく細い千切りにする。
- 大根とにんじんも卵と同じ太さに切る。きくらげも千切りにし、三つ葉は同じ長さに切る。
- 鍋にだし汁と淡口しょうゆ、大根、にんじん、きくらげを入れて火にかけ、にんじんに火が通ったら火を止め、三つ葉を入れてそのまま冷ます。
- [3]の汁けを切って[1]の卵と合わせ、酢とすりごまを入れてよく和える。器に盛りつける。

新年、基本に立ち返って、一からだしを取ってみましょう。透き通って香りのよい、うま味たっぷりな一番だしの取り方です。
- 鍋に水と昆布を入れて弱火にかける。
- 鍋の底から気泡が上がってきたら昆布を取り出して火を強め、沸騰したら火を止め、鍋に鰹節を一気に入れて2秒でこし、そのままおく(※絞らない)。
※ざるにキッチンペーパーを敷いた上から、だしをこす。このとき、キッチンペーパーごと鰹節を絞ると酸味が出てしまい、だしが濁ってしまいます。
管理栄養士・食生活アドバイザー・調理師。日本抗加齢医学会正会員。調理指導師協会会長。京料亭「菊乃井」を運営する株式会社菊の井・常務。また東京・千駄ヶ谷のレストラン「ル・リール」のオーナー兼シェフ。 調理師専門学校の講師を経て、大手食品会社、飲食店・中食事業のメニューアドバイスや食生活全般における指導・顧問などで活躍。著書に「毎日おいしいアンチエイジングクッキング 素材選びと調理法」(講談社)など。