イキイキごはん
からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。
あけましておめでとうございます。お正月に美味しいものをたくさん食べて太ってしまった方はいませんか。また、大切な仕事始めを風邪にかかったまま迎えてしまったという方も多いのではないでしょうか。
この時期手に入れやすいみかんは、ビタミンCが豊富で風邪の予防にお勧めの食材です。みかんなどの柑橘類を肉と合わせて調理すれば、脂っぽさがやわらいで食べやすくなります。今月ご紹介する料理では脂身が多い豚バラブロック肉と合わせました。
みかんは昔から漢方にも使われてきました。皮を干したものは「陳皮」と呼ばれ、「杏仁」と共に昔から咳止め薬に使われてきました。今回のデザートではその杏仁を使いました。杏仁豆腐は家庭でも簡単に作れますのでぜひお試しください。
一緒にご紹介した五色ナムルは、漢方の5つの色を一度に召し上がることができます。中国では一皿に五色揃うと縁起が良いと考えられており、正月料理には前菜や主菜に5つの色を揃えるような工夫をよくします。ポイントは茹でた野菜をしっかり絞ること。水分が残っていると調味料をよく吸わず美味しくできませんので注意しましょう。

豚バラブロック肉を厚み1cm程度に切り、包丁の先で数カ所切れ目を入れておく。
- ボウルで漬け汁を作り、(1)の肉を入れてよく揉む。
(2)の肉をグリルで両面にこんがりと焼き色がつくまで焼いて取り出す。
(3)の粗熱が取れたら食べやすく幅1cmに切って器にのせ、カイワレ大根とみかんの実、クコの実を飾る。

種を取った赤ピーマンは長さ4〜5cmの細切りにする。皮を剥いた大根も同じサイズに切る。
鍋に分量外の湯を沸かし、大豆もやし、大根、ほうれん草、赤ピーマン、ひじきの順に茹でる(同じ湯でよい)。それぞれしっかり絞って水気を切る。ほうれん草は長さ5cmに切る。
(2)を野菜別にボウルに入れ、合わせ調味料を加えてよく混ぜ、皿に盛る。

ゼラチンに水をふり入れてふやかす。
小鍋に牛乳を入れて火にかけ、沸騰する直前に火を止める。(1)と砂糖を加えてよく混ぜて溶かし、生クリームと杏仁霜を加えて容器に移す。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて固まるまで冷やす。
食べる前にクコの実を飾る。
中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/
家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。
まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。
中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。
3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。