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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.17

冷たい麺が食べたくなる訳(わけ) コチュジャン風味のごまダレつけ麺

1年で最も暑い時期です。昔から中国では「真夏の太陽には毒がある」といわれてきました。強い日差しを浴び過ぎると、口内炎や眼の充血、鼻血などの症状がでるからです。私も正午から2時間の太陽はできるだけ浴びないように気をつけています。

地方によって多少異なりますが、この時期には2時間半の長い昼休みが外資系を除く多くの企業と役所に設定されます。昼寝をして疲労回復をするためです。私の両親は自宅に戻り昼寝をしてから、再び職場に出ていました。当然、子供も昼寝をするよう言われますが、こっそり抜け出して外で遊んで叱られる男の子がたくさんいたことを覚えています。

食事から疲労を回復するにはたんぱく質とビタミンB類が必要です。今回ご紹介する料理に使った冷麦などの小麦を原料とした麺類は、ビタミンB類が摂取しやすい食材です。暑いお昼に素麺や冷麦が食べたくなるのは生き物としての本能かもしれません。一緒に使った豚肉ではビタミンB類とたんぱく質が摂れるので疲労回復にピッタリです。

また、適度な辛味も胃腸を刺激し働きを良くしてくれるのでお勧めです。今回はコチュジャンを使いました。ただし、摂り過ぎると胃が荒れますので、辛いものがお好きな方もご自身の適量を意識して使って下さいね。

コチュジャン風味のごまダレつけ麺
  • 鍋に茹で用の材料を入れて沸騰させ、豚肉をさっとくぐらせて火を通す。取り出して水気を取り、一口大に切る。
  • キュウリを斜め薄切りにする。トマトを縦に半分に切る。香菜を長さ3cmに切る。
  • お湯以外のごまダレの材料をボウルに入れてよく混ぜる。そこにお湯を少しずつ入れながらさらによく混ぜる。
  • たっぷりのお湯で冷麦を茹で、流水で洗って水気を取り、お皿にのせる。(1)、(2)、ザーサイをのせ、(3)を容器に入れて黒ごまを散らし添える。

中国薬膳では季節を5つに分け、食材を区分します。1日に5色を食べ、さらに季節の色の食材を多めに摂ることをお勧めします。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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