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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.14

紫外線に負けないで 小エビとホタテの揚げポテトサンド

過ごしやすい気候になりました。大型連休を利用して行楽を楽しまれる方も多いのではないでしょうか。5月は紫外線が強くなる時期。春の肌は日差しの変化にまだ慣れていないので、受けるダメージも大きくなります。十分に気をつけましょう。

普段日焼け止めを塗らない私には、外出時の帽子が欠かせません。食事では美肌や美白効果のあるビタミンCを摂るように心がけています。肌の細胞の修復には睡眠も重要です。中国では、屋外で長時間過ごした日は早く寝るようにいわれてきました。

今月ご紹介する料理にはビタミンCが豊富なじゃがいもを使いました。体内に溜まった塩分を排出する作用もあるじゃがいもは、からだがむくみがちになる梅雨の時期にも活用したい食材です。また、春は肝臓に気をつけたい時期なので、肝機能を高めるホタテも使いました。

今回の料理のコツは、揚げ油の温度を一定に保つこと。いくつも揚げ続けると、どうしても温度が上がってしまいます。ときどき火を弱めて調整しながら、キツネ色にカリッと揚げて下さい。お好みで、花椒塩やカレー粉などをつけて召し上がるのもいいでしょう。冷めても美味しいので行楽のお弁当にもお勧めの一品です。

小エビとホタテの揚げポテトサンド
  • 芝エビは分量外の片栗粉と重曹(各小さじ1)をふりかけて揉み、流水で洗ったら、水分をしっかり取る。ホタテも流水で洗い、水分をしっかり取ったら、端を残して厚みが半分になるように切って開く。
  • (1)の芝エビとホタテをボウルに入れ、紹興酒と黒胡椒を加えてよく混ぜる。
  • 千切りし、水気をしっかり取ったじゃがいもに、片栗粉とみじん切りにしたクレソンを加えてよく混ぜる。
  • 芝エビとホタテのそれぞれに薄力粉、溶き卵の順でつけたら、上下から挟むように(3)のじゃがいもを薄くつけて約170℃の中火で揚げる。

    ※そのまま油に入れず、網じゃくしに乗せて鍋に入れると形を崩さずに揚げられる。

中国薬膳では季節を5つに分け、食材を区分します。1日に5色を食べ、さらに季節の色の食材を多めに摂ることをお勧めします。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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