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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.12

冬の終わりの肌荒れにご注意を 鶏手羽先の金柑煮

今月5日は「啓蟄(けいちつ)」です。大地が暖まり始め、地中の虫が動き出すといわれてきました。中国南部では花見シーズンに入る頃です。人々は梅や桃、梨、杏子(あんず)などの果樹の花を楽しみます。でもまだまだ寒い日もありますので、行楽時の服装には皆気をつけます。乾燥で粘膜が弱り風邪を引きやすくなるからです。

この時期にもう1つ気をつけたいのが肌荒れ。長い冬の疲れで肌がカサカサにならないように、コラーゲンが豊富な食材を多めに摂りたいものです。中国では豚足や豚耳をよく食べますが、日本では手に入りやすい鶏手羽先がお勧めです。適度なコラーゲンの補給で肌に張りがでます。

今回ご紹介する料理には、コラーゲンの補給に鶏手羽先、風邪に負けないように殺菌力の強いにんにく、体を温める長葱を一緒に使いました。手羽先だけを最初に軽く炒めることで旨みを閉じ込めることができ、また柑橘類の金柑を一緒に使うことにより、鶏皮の臭みが中和されて召し上がりやすくなります。皮つきの豚バラ肉を鶏手羽先の代わりに使うと別の料理としても楽しめますよ。

もうすぐ寒い冬が終わります。体調に気をつけて、新しい季節を迎えましょう。

  • 鶏手羽先を関節の部分で2つに切り分け、大きい方の手羽の中央に縦に1本切れ目を入れる。
    金柑は半分に、ミカンの皮は一口大に切る。長葱は縦に切れ目を入れて開き、せん切りにして水につける。
  • フライパンで白ごま油を熱し、(1)の手羽先を入れて両面に焼き色をつける。
  • 深さがある鍋に(2)の手羽先、金柑、1個分のミカンの皮、調味料を入れ、手羽先が柔らかくなるまで焦げないように30〜40分煮る。
  • 器に手羽先を盛り、水気を切った長葱と、香菜、クコの実、千切りにした1/3個分のミカンの皮を散らす。

乾燥対策にはこまめな水分補給も忘れないで下さいね。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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