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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.10

正月の縁起物 卵とチャーシューのチリソース煮/鯛(たい)の薬味蒸し、葱ソースかけ/蜂蜜入りごま団子

新年好(シンネンハオ)。あけましておめでとうございます。今年も旬の食材を利用しながら体調を整えるお料理をご紹介して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

お正月はどのような料理を召し上がられましたか。日本には昆布や黒豆などお節(せち)には欠かせない共通の食材がありますが、広大な中国にもお正月料理に共通する風習があります。

一つは今回ご紹介するチリソース煮のような赤い料理や食材が好まれること。中国では赤は邪気を払うお守りの色になります。また活力を引き出すともいわれています。

二つ目には魚が欠かせないこと。いくら使ってもなくならないという意味の「年年有余(ネンネンヨウユウ)」という言葉があり、この「余」と「魚」が中国語では同じ発音になって、富の象徴と見なされるのです。

三つ目には団子のような丸いものを食べることです。これには「家族がまとまる」というほかに、悪いことがあっても回りまわって福が来るという意味があります。

ほかにもここでは紹介しきれないほどたくさんの縁起物があります。でも何より家族で食卓を囲み、楽しくいただくことが幸せを呼ぶもとになるのではないでしょうか。

  • 1cm角で厚さ5mmに刻んだチャーシューと、筋を取って長さ1cmに切ったスナップエンドウを適量の湯で茹でたら水気を切る。
  • 鍋に大さじ2のサラダ油を熱し、溶きほぐした卵を流し入れる。ふわっとしてきたら、木べらで大きく混ぜて半熟状に火を通して取り出しておく。
  • (2)の鍋に大さじ1のサラダ油をひいて、生姜、ニンニク、長葱を中火で炒める。香りがたってきたら、調味料を加えて混ぜながら強火でしっかり煮る。
  • (3)のソースに少々とろみが出たら(1)のチャーシューとスナップエンドウを加えて手早く絡めてから火を止める。
  • (4)のソースを皿に入れて(2)の卵を中央に置き、カイワレを飾る。
  • 鯛(たい)の腹に切れ目を入れて内臓を取り除いたら、生姜と長葱を詰める。
  • 皿に生姜と長葱を敷いて(1)の鯛をのせ、その上にさらに生姜と長葱をのせる。上から紹興酒をかけてセイロに入れ、強火で約30分蒸す。
  • (2)の鯛からすべての生姜と長葱を取り除く。白髪葱、赤ピーマン、香菜を鯛にのせ、小鍋で熱した白ごま油をかける。
  • 同じ小鍋に醤油とオイスターソース、黒砂糖、(2)の蒸し汁を加えて少々加熱し、(3)の鯛にかける。
  • ボウルにごま餡(あん)の材料を入れてよく混ぜる。8個に分けて、1cm大の団子を作り、冷蔵庫で固まるまで冷やす。
  • 白玉粉を入れたボウルに水を少しずつ入れ、耳たぶくらいの軟らかさになるまでしっかり練る。
  • (2)の生地を8個に分けて、それぞれ薄く円状に伸ばす。(1)の餡を中央にのせ、周りの生地を中央に寄せて団子状にする。
  • 鍋に水をたっぷり入れて沸騰させ、(3)の団子を茹でる。全部浮いたらお碗に移し、茹で汁を注ぐ。

お正月に胃が疲れた方には生姜汁がお勧め。暖まった胃が働き始めます。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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