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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.6

夏の「余熱」を取り除きましょう 豚肉餡(あん)のきゅうり蒸し

今年の夏はどのように過ごされましたか。私は4年ぶりの北海道でリフレッシュしてきました。そろそろ夏の疲れが出てくる頃。この時期、私は体内に溜まった「余熱」に気をつけています。

夏から秋にかけて、風邪でもないのに咳が出たり、喉がかゆくなったり痛くなったりすることがありませんか。その原因として、夏場の高温や強い日差しを浴びたために体内に「余分な熱」がこもっていることが考えられます。そのような余熱は粘膜を弱め、そのままの状態で秋が深まると風邪を引きやすくなります。また、口内炎を引き起こしたり、目が赤くなったりすることもあります。

余熱を冷ますお勧めの食材はウリ系。今月ご紹介するのはきゅうりを使った一品です。中国ではトマトやきゅうりも火を通すのが一般的。もちろん暑い時期は生でも食べます。乾燥地帯の北京では水を飲む代わりにきゅうりをかじっていました。熱を冷ますだけでなく、発汗により失われるミネラルとビタミンの補充にもぴったりだからです。

今回使った豚肉もお勧めの食材です。体を冷やす効果があり、疲労回復に必要なビタミンB類も豊富です。早めに余熱を取り除いて、実りの秋を元気に過ごしましょう。

  • ボウルに豚肉餡の材料を入れてよく混ぜる。
  • きゅうりを長さ約2cmの輪切りにし、種を取り出して(1)の豚肉餡を入れる。
  • 耐熱皿に(2)を並べ、きゅうりの高さ1/3のところまでスープを加える。蒸し器で強火で25〜30分程度、きゅうりが好みの柔らかさになるまで蒸したら、深皿に移す。
  • 残ったスープを小鍋で加熱しながら、紹興酒溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、(3)の深皿に加える。仕上げに香菜とクコの実を飾り、菊の花びらを散らす。

つい冷たい飲み物に手が伸び、胃に負担をかけていませんか。これからは常温以上の飲み物を選びましょう。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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