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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.5

鮮やかな色の食材で夏を乗り切りましょう エビとパプリカ焼き  生姜ソース添え

温暖化の影響か、近年は北京でも夏の暑さが厳しくなっています。私が子供の頃は、気温が30℃を超えるのは午後の2時間ばかり。その時間帯には大人も子供も昼寝をするという、今では考えられないのんびりとした時代でした。

その頃の夏の思い出は、郊外へのピクニック。お弁当には夏野菜に肉を詰めて炒めたものが入っていました。薬膳では夏の日差しに負けないよう、鮮やかな色の食材を食べることを勧めています。代表的なのがトマトやピーマンなどの夏野菜。また、花を料理に使ったり、お茶に入れたりします。それは、夏の太陽の下でシミひとつなく咲く花には、人間の肌を守る効果があると考えられているからです。

この夏は冷房が控え目なため、冷たいものを摂り過ぎの方が多いかもしれません。中国では「夏に生姜を食べると医者に行かずに済む」といわれます。発熱効果がある生姜は、冬だけでなく、胃腸を冷やす機会が多い夏場にも活用して下さい。

今月ご紹介する料理には色鮮やかなパプリカと生姜を使いました。そして、エビと豚肉を使ってタンパク質を加えています。疲労回復のために野菜類とタンパク質を一緒に摂ることを忘れないで下さいね。日差しに圧倒されず、からだを冷やし過ぎず、節電の夏を上手に乗り切りましょう。

  • エビの殻を取り、分量外の片栗粉と重曹を入れてよく揉み、流水で洗う。水分を取り、微塵に切る。豚肉も微塵切りにする。エビ餡の残りの材料を入れてよく混ぜ、6等分に分ける。
  • パプリカを縦に半分に切って種を取り、内側に片栗粉を薄くまぶして(1)のエビ餡を詰める。
  • サラダ油をフライパンにひき、(2)のパプリカを並べ、蓋を閉めて中火弱で両面を焼く。
  • 生姜ソースを作る。耐熱ボウルに千切りにした生姜を入れ、油を小鍋で煙が出るまで熱して注ぎ、塩と砂糖を加えて混ぜる。
  • (3)をお皿に盛ったら香菜を飾り、生姜ソースを添える。

鮮やかな色の食材として夏野菜だけではなく、パパイヤやマンゴーなどの熱帯の果物もお勧めです。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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