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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.3

梅雨時に欠かせない梅パワー 梅ソース添えチャーシュー

梅雨には「梅」という字が使われますが、食材としてもこの時期に梅は欠かせません。日本では軽く干した後で塩や紫蘇で漬けますが、中国ではカラカラになるまで天日干しにしてそのまま保存してきました。広い国土では乾物にした方が運搬しやすいというのが理由だと思います。そのままお茶菓子にしたり、お茶やお酒に入れて楽しみます。

よく海外旅行に梅干を持参されるお話を聞きますが、同じように中国人は乾物の梅を持ち歩きます。私も旅行鞄に干した梅を忍ばせておき、ついつい食べ過ぎた時や、乗り物酔いの予防に利用しています。

梅雨時は気圧が低いことから、血圧が不安定になりがちです。また湿度が高く上手に発汗できないために解毒力が落ちてリンパ腺に負担が掛かったり、体内に乳酸が溜まって疲れやすくなります。気をつけないとその疲れがそのまま夏バテにつながります。

昔から薬膳において梅は血管を柔らかくし、リンパ腺の働きを促進する食材として利用されてきました。また梅に含まれるクエン酸は体内の乳酸を燃焼させ、疲労回復の一助になります。クエン酸は肉類の消化を促進する働きもあるので、肉料理に上手に梅を活用するのもお勧めです。

  • 漬け汁と梅ソースは、それぞれ材料を混ぜあわせて作る。白髪葱とクコの実を用意する。
  • 豚肉を長さ約4cm、厚さ2cmに切る。筋のところにナイフで切れ目を入れる。漬け汁の中でよく混ぜて、30分間程度漬ける。
  • グリルで豚肉を両面に焼き目がつくまで中火で焼く。アスパラガスをお湯で軽く茹でる。
  • (3)の豚肉を一口大に切り、アスパラガスと共にお皿に盛る。白髪葱、香菜、クコの実を飾り、梅ソースを添える。

夏に向けて赤い食材を摂りましょう。肉類では豚や牛肉の赤身をお勧めします。

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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