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イキイキごはん

からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。

薬膳にまなぶ食の知恵[「おいしい」からはじまるからだづくり]vol.2

詩人と、ちまき 炊き込みご飯風ちまき

2千年以上前の中国。楚の国に屈原という著名な詩人がいました。政治家でもあった彼は祖国を秦に侵略されたことを哀しみ、旧暦5月5日に川に身を投げます。人々は彼が魚に食べられないよう、笹の葉に米飯を入れて川に投げ入れました。これが端午の節句にちまきを食べる由来だといわれます。

今年は5月6日が立夏です。夏に向けてミネラルや蛋白質を補給し、体調を整えたい時期になります。ミネラル摂取にもってこいなのが旬のタケノコ。椎茸、干しエビ、黒砂糖、オイスターソースもおすすめの食材です。

今月ご紹介するのは炊き込みご飯を使ったちまきです。本来、ちまき作りには蒸したり水煮をしたりと手間が掛かります。今回は炊き込みご飯を使って簡単にしました。具材にはミネラルが豊富な食材と、良質蛋白の腸詰めと豚肉を使っています。

梅雨入りも近いこれからは衛生にも気をつけたい季節。ちまきを巻く笹の葉や五香粉、生姜、香菜は殺菌作用が強いので、夏場に向けて活用したい食材です。また、日照時間が長くなり、紫外線も強くなりますので、健康な肌のためにビタミン類の摂取も忘れないでください。

  • 餅米を炊飯器で炊く(水分量を少なめにして固めに炊く)。干しエビ、干し椎茸をそれぞれ水に戻して、腸詰め、豚肉、筍と共に約7㎜角に切る。
  • 香りが出るまで生姜を胡麻油で炒め、腸詰めと豚肉、紹興酒、水、戻し汁を加えて少々炒める。さらに干しエビと干し椎茸、筍を加えて炒める。オイスターソース、黒砂糖、五香粉、黒胡椒を入れて液体が無くなるまで煮て火を止める。
  • 炊きあがった餅米と(2)をよく混ぜ、人数分に分けて形を作る。
  • お皿に笹の葉を敷いて(3)をのせ、その上に白髪葱、万能葱、香菜、枸杞の実をのせる。

1日5色の食材を食べるのが薬膳のコツ。春は緑を多めに食べましょう!

パン・ウェイ

パン・ウェイ

中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/

家庭薬膳のコツ

家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。

まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。

中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。

3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。

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