対談・イベントレポート
―健康保険組合全国大会― 全国大会レポート
平成29年度 健康保険組合全国大会
29年11月28日(火)、東京国際フォーラムにおいて、「平成29年度健康保険組合全国大会」が開催された。29年度の全国大会は「迫る超高齢社会!皆保険の存続へ改革断行!! ―優れた保険者機能を発揮し、我々が皆保険を守る―」と題し、全国約1400の健保組合関係者ら約3,500人が参集。「拠出金負担に50%の上限、現役世代の負担に歯止めを」、「高齢者医療費の負担構造改革の早期実現」、「実効ある医療費適正化対策の確実な実施」、「生涯現役社会を目指し、保健事業等の積極的推進」の4項目をスローガンに掲げ、同スローガンに基づく決議が満場一致で採択された。

健康保険組合連合会会長
大塚 陸毅 氏
健保連の大塚陸毅(おおつか・むつたけ)会長は、団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度には、拠出金の負担増や高齢化に伴う医療費の増大などにより、健保組合財政はさらに厳しい状況に陥ると指摘。世界に誇る皆保険制度を守るため、29年9月に健保連が提言した3つの柱、○高齢者医療費の負担構造の改革○国民医療費の伸びの抑制○健康な高齢者を増やし「支えられる側」から「支える側」に加わってもらう―の実現が喫緊の課題であると強く訴えた。
また当日は、高木美智代厚生労働副大臣が全国大会に出席し、あいさつした。その中で、政府としても皆保険制度の堅持に向けて、医療提供体制や医療保険制度の改革を進めるとともに健康寿命の延伸のための予防・健康づくりに取り組む決意を示した。
同大会には、各政党から50人を超える議員も列席。政党を代表し、自由民主党の橋本岳衆議院議員、公明党の桝屋敬悟衆議院議員、立憲民主党の海江田万里衆議院議員の3氏があいさつし、持続可能な医療保険制度の確保に向けた取り組みを進める決意を示した。
つづいて、関係団体である日本経済団体連合会常務理事の井上隆氏、日本労働組合総連合会事務局長の相原康伸氏、全国健康保険協会理事長の安藤伸樹氏の3氏が、それぞれの立場から改革の必要性と連携の重要性を訴えた。
その後、特別企画として「2025年度に向けた医療保険制度改革」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。東海大学教養学部人間環境学科教授の掘真奈美氏、日本経済新聞社シニアエディターの山口聡氏、健保連の棟重卓三理事の3氏をパネリストに迎え、医療法人適塾会よどがわ内科クリニック理事長の梅村聡氏がコーディネーターを務めた。
健保連の試算した医療費の将来推計をもとに意見交換が行われ、高齢者医療制度における現役世代の負担構造改革の必要性や、健保組合が保険者機能を発揮することの重要性について強調した。