イキイキごはん
からだにうれしい薬膳料理を、中国料理・食養生研究家のパン・ウェイ先生がご紹介します。
はや今年も師走です。年の瀬に近づくと忘年会や挨拶回り、年賀状の準備などで普段より慌ただしく過ごされ、疲れを感じる機会も多いかもしれません。新年を元気にスタートできるよう体調管理に気をつけたいものです。
気候的にはこれから寒さと乾燥が厳しくなる時期になります。私の故郷、北京ではこの時期に寒波が襲来するとマイナス10℃を超える日もあります。大変厳しい寒さですが、北京っ子にとって寒さは喜ばしいことでもあります。それは池や湖で大好きなスケートができるようになるからです。しかし困るのが乾燥。外で遊んでいるうちに顔や手の皮膚がひび割れてしまいます。
乾燥の激しい冬の北京では、適度な脂肪分とコラーゲンを摂らないと元気に過ごせないといわれてきました。それらが不足すると肌荒れや血管の病気を引き起こす可能性があるからです。あちらでよく食べられるのは豚足、そして「阿胶(アージャオ)」という驢馬(ろば)のコラーゲン。阿胶は日本ではなかなか手に入りにくいものです。身近な食材では鶏手羽がお勧めです。大人達から食べなさいと言われ、子供が手羽をかじりながら遊ぶ光景が家庭ではよくみられます。
今回の料理のコツは手羽の表面が固まるまでしっかり焼くこと。香ばしくなり美味しく召し上がれます。また冷え性の方はレシピの分量よりも薬味を少し多めに入れてみてください。

手羽中の中央に切り目を入れ、下味の紹興酒と醤油、溶き卵を入れてよく混ぜ揉んだら、片栗粉を加えて混ぜ、20分間程度置く。
鍋にサラダ油を熱したら手羽先を並べ、蓋を閉めて表面が固まるまで中火で焼く。裏返して同様に焼く。
手羽先に火が通ったら生姜、ニンニクを入れて香りが出るまで炒め、オイスターソースを加えて混ぜ炒める。最後に香菜を散らす。
中国料理・食養生研究家。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提唱し、中国家庭料理・薬膳料理・中国茶の教室を主宰。「きょうの料理」(NHK)等のテレビ出演や著作活動、講演会、イベント等でも活躍。 http://www.pan-chan.com/
家庭薬膳は言葉の通り、中国では普段の食生活に根づいたものです。けして難しいものではなく、ややこしいカロリー計算も、難しい栄養学の知識もいりません。大まかに、「5色の食材を摂る」、「冷やさない」、「一物全体」という言葉を覚えておいて下さい。
まずまんべんなく5色の食材を摂ること。でも毎食気にすることはありません。夕食の献立を考える際に、朝食と昼食に洩れていた色を加えればいいのです。季節の色の食材は多めに摂ることも忘れないで下さい。たとえば仕事等で忙しくて1日で補えない場合、翌日多めに食べればいいのです。
中国でも「冷えは万病のもと」とよくいわれます。とくに冷え性の方は夕飯時の刺身や生野菜は控え目にして下さい。日本では夕飯から就寝までの時間が短いことが多いので、寝ている間にからだが冷えてしまいます。新陳代謝が悪くなり、睡眠中の細胞の回復や解毒を損ない、様々な病気の原因になります。
3つ目の「一物全体」とは、食材は一部だけではなく全体を食べよという意味です。青菜なら葉っぱや茎だけではなく根の部分も、肉も赤身だけではなく内臓類なども食べましょう。それぞれの部位にしかない栄養素があると考えられています。